ヘッジホッグ、汗と涙のワーホリ物語No33
「Love Day Road」

ここイギリスでケンブリッジからスタートして、港町ボーンマス、ヒースロー空港近くのヘイズ、そして2度目の渡英でイギリスのボンベイことサウスホールと移り住んできた。そして、また引越しすることになるとは。

ウェンディ―から貰った紙には、住所がなく電話番号と名前だけ書かれていた。とりあえず電話をかけてみることにした。だが、つながらない。おかしいと思い、それからその日に2,3回電話をしたが、やはり結果は一緒であった。このメモは間違っていないんだろうか?ウェンディ―に再び聞きに行くにも、
「あんた、こっちは忙しいんだから。」
と、いつものように煙たがれるだけ。やむを得ず、その電話を何回も何回も何の保証もないが繰り返した。そして、ついに。「ハロー?」電話がつながった。男性の声だ。
「あっ、もしもし、ニコルさんはいますか?」
僕は、そこに書かれた女性の名前を言った。
「ニコルは、外に出ているが、どなた?」
僕は、ついつい自分の名を名乗るのを忘れていたようだ。
「僕の名前は、ヒロ。日本から来た学生です。学校の紹介であなたの家を知ったんだけど、興味があって一度見に行く事が出来ないだろうかと思って電話しました。」
「もちろんいいとも。私の名前はマーヴィン。ニコルは私の妻だよ。ところで、いつこちらに見に来るつもりだい?」
マーヴィンはとても分かりやすいきれいな英語で僕に尋ねた。
「あの、急いでいるんで明日の夕方というのはいけませんか?」
僕は、あまりに急の要求をやや横暴な気もしたがお願いしてみた。
「明日の夕方かい?んー、多分大丈夫だと思うよ。もし、何かあったら連絡できるように、電話番号教えてもらえるかな?」
「もちろん。」
僕は、携帯のナンバーを伝え、明日部屋を見に行くアポを取る事ができた。このポンポン拍子の展開に自分はもちろん、ルームメイト、ヨンジンも驚いていた。
「もう見つかったのかい?」
もし、みつからなかったら、ウェンディ―に内緒でこの部屋に仮宿泊していいんだよと、言っていたヨンジンだけに、このスピード解決を予想していなかったであろう。

明くる日、マーヴィンさんのお家を拝見に行こうと用意していると、大きなミスに気づいた。相変わらずのミスではあるが、今回ばかりはその慌てん坊さに嫌気がさしてくるミスであった。昨日の電話で、アポを取ったものの、住所を聞いていないではないか!すぐに、マーヴィンさん宅に電話をしたが、こちらも相変わらず誰も電話にでない。

「いったい、どんなお家なんだろう?誰も出ないなんて。」
独り言のように愚痴りながらも、(もしや、電話がなっても聞こえない程の大邸宅かもしれない。)とありもしない空想を描いてみた。くだらない、絶対ありえない。とにかく、繰り返し繰り返し電話をかけてみることにした。

1時間後、やっとつながった。今度は、若い女性の声である。若者言葉特有の早口な英語であったので聞き取るのは大変であったが、住所も間違いないようにスペルをキチンと聞いた。これで大丈夫と思いお茶を一杯すすって一服してみたが、また大きなチョンボに気づいた。僕は、地図を持っていないじゃないか?!

そこで便りになるのがUK-Jである。電話をしてその住所を地図で探してもらう事にした。すると、
「あらっ、ここからすごく近いわよ、その家。」
と電話をとって調べてくれたアキコさんが付け足すように言った。
「しかも可愛い名前ね。"Love Day Road"って。」
僕は、おそらくマーヴィンさんの娘さんであろうか、早口な英語を聞き取るのに大変でその住所を認識していなかった。だから、アキコさんに言われるまで、そのお家の住所が"Love Day"だなんてこれっぽちも気づいてなかった。お互い「へぇー、こんな名前の道があるのね。」など言って関心してしまったが、とりあえずこれで後はそのお家に行くだけになった。

その夕方、自転車で向かったが、運悪く小雨が降り出してきた。どうやら天気の方は"Love Day"ではないようであった。


つづく



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