ヘッジホッグ、汗と涙のワーホリ物語 No. 25
「イギリスから観たワールドカップベッカム編」

「4年後だよ。4年後。」
アルゼンチンからきている男の子、ジョアンが開き直った様にアルゼンチンの予選敗退しとことを話し出した。
「今ごろ、飛行機の中だぜ。バティストゥータは。ハハハ。」ブラジル人のマックスは嬉しそうに若いジョアンをからかっている。先生のメリオンも
「すまない、ジョアン。ベッカムに代わって謝るよ。」
といいながらも顔はすごく嬉しそうである。サッカーの魔力だろうか。ここまで人々が祖国の事に誇りを持つのは。

あのゲーム以来、テレビは毎日の様にベッカム、ベッカムとなった気がする。どのニュースをつけてもトップニュースとしてベッカムのフリーキックを扱っていた。知り合いのサッカー好きのイギリス人は、
「ベッカムは、本当に男だよ。」
とまるで我が息子のように自身ありげに語り始めた。
「あいつは前大会アルゼンチン戦でレッドカードで退場しただろ。あの時は、まだお子ちゃまだったんだ。あの時は、周りからかなり非難されたけどな、その汚名をイングランド代表のキャプテンとなり同じアルゼンチン相手に自らの脚で振り払ったんだぜ。あいつは、ホントにプライドのある男だ。」どうもイギリス人には、プライドという響きが好きなようである。

僕は前から大きな疑問があった。なぜ、ベッカムはすごい人気があるのに、オーエンは素晴らしい能力をもっていながら評価されないんだろう?

この質問を数人のイギリス人に聴いてみたが、返ってくる答えは「彼にはセレビィリティ(名声、有名人気質)がある。」
としか言ってくれなかった。僕はさらに突っ込んだ質問をした。「しかし、ベッカムは既婚者だし子持ちでしょ。普通、ファンは独身のマイケル・オーエンに行く気がするが?」
しかし、彼らは頑なと同じセリフしか言ってくれない。
「ベッカムの奥さん、知ってるでしょう。ヴィクトリア、元スパイスガールズ。奥さんも超有名人だから、やはり彼はセレビィリティなのよ。」
「へぇー、そうなんだ。」
としか返事ができなかった。どうやら、ベッカムは国民的英雄となっているようである。

その英雄も別のイギリス人に言わせれば、
「確かに正確なボールを前に出すことはできるが、自分自身で突進してドリブルで突進する能力に欠ける。昨年、マンユー(マンチェスターユナイテッドの略)は無冠に終わったから、今期駄目ならトレードもあるんじゃないか。」
と酷評していた。それだけ賛否両論がでるのも彼が持つセレビィリティ由縁かもしれない。

ここイギリスに限らず、日本でもベッカムは人気者になってしまったようである。こちらで日本の新聞を見ると街中、モヒカンヘアをした若者やらが歩いている写真を目にした。しかも金髪である。昔、某週刊誌に連載されていた人気コミックに登場したような敵キャラクターがたくさん街を旋回しているではないか。これは興味深い光景であった。新聞のヘッドライン曰く、ベッカムヘアと記されていた。ベッカムといえば響きがいいが、なんかなという気がした。

とはいえ、これは美容院、散髪関係者にしてみれば思わぬワールドカップ効果であったに違いない。やはり、これもベッカムのセレビィリティのおかげ?

つづく

 

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